大きなアンプの新規製作はそろそろ終わりにしたいと思って、最後に何を作ろうかと思案しているときに、前から気になっていたアンプを思い出しました。それは氏家さんが2003年6月号の『ラジオ技術』誌に発表されたフローティングOPT方式の300B A級プッシュプルアンプです。
今まで見た事がなかった回路なので、どんな音がするのだろうかと気になっていました。今回このアンプの製作に決めたのにはいくつかの理由があります。1つ目は何といっても回路からくる音質面での優位性です。出力トランスの内部電磁合成を軽減し、プッシュプル回路の音の繊細さやスピード感を向上させる効果があると記事には記されています。2つ目はモノアンプ構成であるということです。重さや大きさが小さくできるので取り回しやすく、ノイズやクロストークの面でも有利です。ということでこの企画に着手しました。
第1に考えたのはシャーシーをどうするのかとトランス類は入手可能なのかということです。シャーシーについてはこの際最初で最後の業者に依頼して穴あけしてもらうことにしました。色々業者、その製品等を比較した結果、価格とサイズの面でTAKACHIのSRDSL-7HSにして穴加工もTAKACHIに依頼することにしました 。出来上がったシャーシーは文句のない加工精度でした。が1ヵ所私の指示ミスで出力トランスの取り付け穴の位置が間違っていました。この点だけが残念でした。
トランス類の入手はISOトランスが復活しているので電源トランスとチョークトランスは同じ規格のものが入手可能でした。一方出力トランスのFX-40-5というものはオークションで入手するしかないのですが、今回はISOのFC-40-5を使ってみることにしました。どんな変化が起こるのか不安もありますが、いい方に変化するものと期待します。