DYNACO ST-70 の修理と考察(2)

最初の5台のうち電源トランスがショートや断線している2台を除いて3台はまともに稼動できるようになりました。その後残り3台分も依頼されて結果として現在8台診断修理したことになります。3台のうち1台は電源のブロックコンデンサーの容量抜けでしたので、交換しFETリップルフィルターを追加し、他のコンデンサーもすべて交換して完了としました。次の1台は元々問題なく稼動していたもので点検したところブロックコンデンサーの容量抜けもなく、音質的にもいい感じでしたのでBLACK CATもそのままにしてFETリップルフィルターのみ追加してバイアス調整やEL34のペア合わせなどして完了としました。ただこの個体については不思議な症状がありました。それはプリと繋いでいる状態でプリの電源を切ると1,2分してから盛大なハムのようなノイズが出てくるというものです。発振しているのかと疑いましたが違いました。結局私の力では解決できず、実害もないのでそのまま申し送りました。

最後の1台には結構手を焼きました。まず電源を入れるとヒューズがとぶということだったので、すべての真空管を抜いて電源を入れたところヒューズはとびませんでした。そしてトランス2次側のAC電圧も正常に出ているので電源トランスは問題なしです。次に電源のブロックコンデンサーの容量を調べたところ、4つある端子の内、整流後に最初に繋がる端子がほぼ0μFになっていました。他の3つの端子は正常でしたが、そのまま使うわけにもいかずF&T社製のものに交換しました。次にFETリップルフィルターを追加し、最後にBLACK CATをASCに交換しようというときにふとASCは表面の印刷の向きとフィルムの巻き終わり側が同じになるように揃えられているかが気になってきました。

この巻き終わり側を調べる方法や回路での向きの揃え方などが丁寧に書いてあるオーディオショップ(サウンドデン)のホームページ(辛口コラム)の記事を参考にして手持ちのASCのチェックをすることにしました。この記事では検査用に高感度ボルトメーター(0.3mvフルスケール)を使うとなっているのですが生憎持ち合わせていないので悩みましたが、オシロスコープなら多少感度が低くても波形の様子でわかるのではないかと思いオシロを使うことにしました。話は少し逸れますが、ここで使用したオシロは、OWON製のVDS1022IというUSBオシロスコープというもので、パソコンのモニター画面をオシロの画面として使うので廉価、場所を取らないという利点があります。私はこのオシロをeBayのショップで13000円台で購入することができました。日本の店で購入するよりかなりお

安く入手できたのではないかと思います。結果は約半分が印刷の向きが反対になっていました。巻き終わり側にマーキングして、巻き終わり側を前段側にして使うべしと記事に書いてあるのでその通りに取り付けました。今まですでに修理した分については勘弁してもらいます。

さていよいよ完成かと思い通電してみると左側のEL34の1本が点灯しないので慌てました。ソケットの状態もかなり悪いので前側の左右2個のソケットを交換し、怪しげな配線もやり換えました。後側のソケットは

多少ましだったのと、新しいソケットにはカソード電流計測用の15.6Ω抵抗を接地する端子がないことなどから現状で行くことにしました。ただよく考えてみるとST-70にはシャーシー前面にプリへの電源供給・バイアスチェック用にGT管用のソケットが2個ついているのでこれを取り外して古いソケットと交換すればよいことに気がつきました。後側のソケットもへたってきたらこの方法で修理することにします。

これで完成ということでバイアス調整に移りましたが、一瞬規定の1.56v近くになるのですがすぐに0.8v位まで落ちてしまいバイアス調整用のボリュームを回し切っても規定の電流が流れません。EL34自体は事前に真空管テスターで問題ないことを確認しているので、他に問題があるということです。色々確認していくと何らかの理由で規定の

電圧が出ていないのです。電源トランスは問題がないことがわかっていましたので、残る怪しい箇所は電源スイッチとヒューズしかありません。電源スイッチも頼りないのですが接点改良スプレーを吹きつけてスムーズに動くようにしても正常にならないのでヒューズのキャップの部分を動かしたところ急にカソード電流が増加したのですぐに電源を切ってヒューズホルダーを交換することにしました。元々はBussmann製のヒューズホルダーがついているのですが、日本製の30mmのヒューズを入れると微妙に内部の金具との接触が甘く

なるのかと思います。こうならないためにバネでヒューズを押しつけるタイプのLittelfuse製のホルダーに交換しました。その結果無事バイアス調整も規定通りでき、試聴してもすばらしい音を再生してくれましたので完成となりました。後修理を必要とするST-70は1台だそうで、用意した交換用のブロックコンデンサーの残りも1個でちょうど間に合いました。

―追記―

どうしても確認しておきたくて日本製のヒューズとBussmann製のヒューズを比較してみました。写真左側からBussmann製1A、日本製(FUJI)、Bussmann製3Aのヒューズで、明らかにサイズが日本製の方が小さいのが判ります。これでは接触不良が起こりやすいのは当たり前で、米国製のアンプには米国製のヒューズを使うべきだという至極当然の教訓でした。

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